天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


媚びへつらって敬ったりもしないと言っていた。


あとは、妓楼の護衛と歌舞伎茶屋での剣舞はやってはいけないんだと。


それと他の女子からの告白は全て断り自分しか見るなとも言っていた。


「可愛い奴だ…」


そして、またハッとする。


私は何を…誰の事が可愛いと?


ああ。やめよう。しばらく飲まないとここまで酒が弱くなるのか?


紅蓮は酒瓶を放り出し虹彩樹の庭を歩きだす。


虹彩樹がキラキラと虹のように降ってくる。


花を愛でていると自分と同じように花を愛でる人物がいた。


虹色の花びらが降る中、衣は素朴な色で派手な装飾は無く、髪に簪を挿しているだけなのに酷く美しく見えた。


「…そなた名は?」


声をかけるとその娘は消えてしまった。


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