天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


「罪人でありながら記憶水晶の間に侵入するとはっ」

「私は皇族だ。記憶水晶の間が認めたのだ。だから入れた」

「黙れ!罪人を捕らえよ」


衛兵が氷輪を取り囲む


「氷輪!」

「白蘭。行けっ!私は大丈夫だ」


助太刀しようとするのを氷輪は断り、早く行けという。


「でも!」

「大丈夫だ!私は大丈夫だ!」


そういい氷輪は人間界で見たような眩しい笑顔を見せた。


「必ず戻るわ!」


そして白蘭は魔宮へと向かった。

魔宮は荒れ果て、美しい宮は崩れ、草花は枯れている。


…私が魔宮をこのようにしてしまった


心痛しながらも皇太子宮へ急いで向かう。侍女の時、よく通っていた道だ。

ここは紅蓮と、おにぎりを食べた場所だ。

懐かしい思い出に視界が潤むのを手で拭い部屋へ入った。



< 184 / 258 >

この作品をシェア

pagetop