天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「罪人でありながら記憶水晶の間に侵入するとはっ」
「私は皇族だ。記憶水晶の間が認めたのだ。だから入れた」
「黙れ!罪人を捕らえよ」
衛兵が氷輪を取り囲む
「氷輪!」
「白蘭。行けっ!私は大丈夫だ」
助太刀しようとするのを氷輪は断り、早く行けという。
「でも!」
「大丈夫だ!私は大丈夫だ!」
そういい氷輪は人間界で見たような眩しい笑顔を見せた。
「必ず戻るわ!」
そして白蘭は魔宮へと向かった。
魔宮は荒れ果て、美しい宮は崩れ、草花は枯れている。
…私が魔宮をこのようにしてしまった
心痛しながらも皇太子宮へ急いで向かう。侍女の時、よく通っていた道だ。
ここは紅蓮と、おにぎりを食べた場所だ。
懐かしい思い出に視界が潤むのを手で拭い部屋へ入った。