天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「何をするつもりだ?」
「…呪神羅刹のところへ」
「駄目だ。すでに行ったが無駄だった。対価が払いきれない」
「私は天女よ。羅刹はきっと助けてくれる」
二千年前も羅刹は無対価で天女を救ってくれた。
「命を懸けてでも必ず助ける」
そう言い残し、最後に紅蓮を一目見ると白蘭は魔界の果てへ向かった。
…待っていて紅蓮。
邪気が強く天女の身には辛かったが構わず羽を全力で動かした。
二日で森にたどり着き降り立つ。
「羅刹っ!羅刹!!どこにいるの!?」
肩で息をしながらも大声で呼ぶとその巨体はすぐに表れた。
「呼んだかい?」
「羅刹っ。良かった」
羅刹は私の顔を見てギョッした。
「まさか…白蘭?」
「そうよ」
「なぜここに?天女の身では辛いだろう。早く天界にお帰り」