天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「本当は白蘭と契約したくない。私がここで天女様の体から、あなたを取り出したのよ」
「知っているわ。あなたが私を助けてくれたの」
「そんな子の命を取るだなんて」
羅刹はきっとかなり譲歩してくれたのだろう。それでも命を差し出さなければならない。それほど私の罪は重いのだ。
「羅刹…お願い」
心を決め羅刹に声をかけると羅刹はゆっくりと私の体から命を取った。
苦しくはなかった。ただ体から法力が抜けていくのがわかる。
「終わった」
目を開くと羅刹の手に光があった。
おそらく私の命だろう。
「これを鳳凰の体にいれれば息を吹き返す。私が法術でここから鳳凰に入れよう」
「あっ。ちょっと待って。これも一緒に紅蓮に届けてくれる?」
白蘭は懐から紅蓮の赤い羽を出し羅刹に渡した。
実は捨てられずにずっと持っていたのだ。
羅刹は片手で受け取るともう片方の手で自分の目を抉り取った。
「羅刹…!何を!?」
「左目を鳳凰に返す。白蘭の命を取ったお詫びだ。」
「羅刹…」