天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
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【天界】



羅刹の元から天界まで翼を動かした。


命を失い法力もほとんど残っていない。


羅刹は優しく私の命を取ったから実感が湧かなかった。


でも、確実に私の命は減っている。


氷輪を助けないと…でも、このままだと一年持たないわ。ひとまず皇子宮に戻ろう。


もう月影の思い通りにはさせない。


足元がおぼつかないまま白蘭は自力で皇子宮へと入った。


部屋に入り寝台に腰掛けて胸元を落ち着けるように叩いた。


大丈夫…紅蓮は助かったわ。あとは氷輪を助けて兎月と三人で天界を出るの…。そして人間界で暮らす。月影も人間界なら手出しは出来ないわ。


あと一年、そこで暮らすの。


過ちは正すことが出来ると雪梨様は言ったわ…これで私の過ちは正せたかしら。


ううん。紅蓮は私を許さないわ。


紅蓮は私に殺されたんだもの。私が許さなかったように彼も私を憎み許さないだろう。


それでもいい。生きていてさえくれれば私は幸せだ。



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