天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「ええ…知ったわ。記憶水晶の間で全て知った」
「…氷輪か。…早く殺しておくんだった」
その言葉を聞いて白蘭は月影の手を振り払った。
「恐ろしい人」
「白蘭…?」
「いつから私が天女だと気づいていたの?出会った時から?あなたは綿密な計画を立てて天帝になった」
「…」
「私のことも計画の内だった?天女を娶れば第二皇子のあなたでも楽に天帝になれるから?だから許婚にして婚姻を迫ったの?」
「違う」
「私が記憶を失った時にあなたは紅蓮の事を話さなかった。私が紅蓮の妻であったことも、玲心に殺されたことも。私の心を操るために言わなかったの?」
私の言葉は止まらなかった。
「私が紅蓮に殺されたと勘違いし苦しんでいる時もあなたは全て知っていた。知っていて何も話さなかったのよ!」
「白蘭…」
「あれだけ兄を慕っていた氷輪に酷い仕打ちをし、兎月は独りでここに取り残された。玲心と共謀し、魔帝も魔后も殺した。天帝と天后もよ。そして最後は私…何も知らない私は紅蓮を殺してしまった。紅蓮がいなくなれば私は独りになる。そうすれば婚姻も簡単よね?」
ずっと月影は善良だと信じていた。私を助けてくれたと、優しい人なのだと。
でも違った。ずっと私はこの人の手の平だったのだ。
白蘭は涙を流した。