天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
前の私なら破れたかもしれない。でも今は羅刹との契約で月影を上回るほどの力は無いのだ。
「どうしたら…」
宮の入り口で悩んでいるとピョンピョンと跳ねながらこちらへ来る兎が見えた。
「兎月!」
「白蘭!?」
驚きながらもこちらに寄ってくる。
「白蘭、部屋の前で一体何しているんだ?それよりも氷輪が捕まってしまったぞ?どうする?」
「だから助けにいくの!」
「そうか!じゃあ兎月もお供しよう!」
そして兎月は白蘭の方にピョンと飛んだ。その時入り口の結界が反応し兎の体が宙に跳ね返る。
「うわあー!」
「兎月っ!」
悲鳴をあげながら鈴蘭の庭へ飛んで行った。
「兎月!大丈夫!?兎月?」
返事がなく確かめたいのに宮からは出られない。
心配しているとなぜか嬉しそうな兎月の声が聞こえた。