天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「やろう。白蘭」
「駄目よ。話せなくなっちゃう」
「二千年また努力すればいいだけの話だ。それに言葉を失くしても変身術は使えるし意志の疎通は出来る」
「でも…」
「いいか。兎月はこの変身術を使って氷輪を助け人間界に行く。白蘭はこのまま魔界の鳳凰の元へ行くんだ」
「兎月一人じゃ無理よ。私も行く」
「白蘭。兎月はもう強くなったのだぞっ。牢から一人出すくらい出来る。逆に白蘭が牢に来たら、月影様がすぐに駆け付けて皆捕まっちゃうぞ」
兎月の言うことは正論だった。
「間違っていても兎月は月影様が好きだ。でも、白蘭は月影様に捨てられた兎月と一緒に暮らしてくれた。寂しかった兎月はすごく嬉しかった。」
「兎月…」
「だから白蘭には幸せになってもらいたいのだ」
どこまでも変わらず純粋な思いに白蘭は胸がいっぱいになった。
「白蘭…大好きだ」
その言葉を最後に兎月は法術を使った。
皇子宮の結界が壊れ白蘭は自由になる。