天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
魔界についた白蘭は真の姿をしまうと顔を布で隠した。
…天女の姿はすぐにわかってしまうから、上手く隠れないと。
魔都を歩くと民たちは戦が終わったばかりだというのに活発だった。
物を売ったり買ったりする様は人間界の街を思い出させる。
ここは…。
無意識にある屋敷についていた。新夜祭の日に八咫烏一族で滞在した屋敷だ。
今は空き家のようだ。
人がいないのを確認し足を踏み入れる。
「ここで父上に怒られたのよね…」
真の姿で飛ぶなって言われて一刻の間、跪いて反省したっけ。
思い出を振り返るように白蘭は屋敷の中を歩く。
この廊下は兄上に簪を貰ったんだわ。
明明が照れているのがすごく可愛くてからかったのよね。
廊下を抜け大きい部屋につく。
八咫烏の女子と喧嘩したところだわ…皆、紅蓮に気に入ってもらおうと必死だった。