天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


そして、ここは…。

私が使っていた部屋だ。

毎日、明明が起こしに来てくれて世話をしてくれる。

魔宮の侍女に選ばれたときは明明と泣いたし、兄上には笑われた。

そして父上が実の親ではないというのもここで知ったのだ。


「随分昔のことのようね…」


私はまだ愛を知らず、世間を知らず、問題ばかり起こす子供だった。

空を飛び、人間界に住み、自由気ままに生きていた無知な娘だった。


父上…兄上、それに明明。私は大人になったわ…。皆がいなくなってから色々あったのよ。話すことがたくさんあるのよ。

一年経ったらそっちに行くから、その時に話を聞いてほしい。


「だから、あと一年見守っていて」


そして屋敷を後にする。


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