天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


新魔帝陛下…?


思い当たる人は一人しかいない。

私が愛した人。いや、私が愛している人。

深く傷つけた人。私の事を恨む人。

その人物はゆっくりと姿を現した。

赤い衣に鳳凰の柄。魔界の美しく勇ましい鳳凰だ。


「…紅蓮」


生きている。紅蓮が生きている。

それだけで白蘭の心は満たされた。

魔帝となったのね。紅蓮が魔帝ならば魔界も安心のことだろう。

紅蓮は魔帝の座についた。

その時、ふと目が合ったように感じドキリとする。


…バレた?


とにかくここにいるのを知られるのはまずい。

白蘭はいそいそと、その場を離れた。

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