天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
少し休もうと思ったのに、虹彩樹の入り口から声がした。
「封印が破られている?まさか…」
紅蓮の声だ!間違えるはずがない。
でもどうしてこんなに早くここまで来たのか。
白蘭は慌てて、法術を使い身を隠した。
そして虹彩樹の庭の奥まで走る。
紅蓮もあたりを探すようについてくる。
まさか、見られたのかしら。私だとわかってしまった?
そんな時、術がまた解けてしまった。
「白蘭…?」
あまりにも早く顔を合わせる事になった。
もう逃げられないことを悟った白蘭はその場に留まった。
紅蓮は私に近づいてくると顔の布を取り言った。
「やはりな…」
私はそんな彼が生きているのが嬉しくて、こんなに近くで見られるのが幸せで視界が涙でいっぱいになった。
何か言わないといけないことがたくさんあるのに、何も言葉が浮かばない。
ただただ、私は泣くだけだった。