天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~



しかし、また歩き出すと衛兵が走って行くのが見えた。


「まだ捕まらないようだな」


隣にいる朱雀に話しかける。


「朱雀軍を動かしましょうか?陛下」

「おい。お前まで陛下と呼ぶな。今まで通り、紅蓮でいい」

「わかりました!陛下っ。…あっ」


わざとなのかと朱雀を睨むと朱雀は自身の口をぺちぺちと叩いた。


「阿呆鳥か?お前は」

「酷いっ。って、紅蓮様どこへ?」

「虹彩樹の庭だ」

「またですか?ほどほどにしてくださいね」


朱雀の声に手を振って返事をする。

白蘭の幻覚を見たからか、虹彩樹が恋しくなった。

虹彩樹の庭に入ろうとしたとき、あることに気が付いた。


「封印が破られている?まさか…」




< 219 / 258 >

この作品をシェア

pagetop