天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
しかし、また歩き出すと衛兵が走って行くのが見えた。
「まだ捕まらないようだな」
隣にいる朱雀に話しかける。
「朱雀軍を動かしましょうか?陛下」
「おい。お前まで陛下と呼ぶな。今まで通り、紅蓮でいい」
「わかりました!陛下っ。…あっ」
わざとなのかと朱雀を睨むと朱雀は自身の口をぺちぺちと叩いた。
「阿呆鳥か?お前は」
「酷いっ。って、紅蓮様どこへ?」
「虹彩樹の庭だ」
「またですか?ほどほどにしてくださいね」
朱雀の声に手を振って返事をする。
白蘭の幻覚を見たからか、虹彩樹が恋しくなった。
虹彩樹の庭に入ろうとしたとき、あることに気が付いた。
「封印が破られている?まさか…」