天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


恐ろしい雰囲気に白蘭は一歩一歩後ずさりをした。


「すべてを思い出せばそのような想いは消える…」


そうだ。大丈夫だ。白蘭に羽を戻せば私たちは元の関係に戻れる。


そう思った月影は法術で白蘭の羽を出した。


「月影…何をっ…!?」


血で汚れ杭によって何か所も穴が開いた羽を見て白蘭は小さく悲鳴をあげた。


「怖がらなくていい…これはそなたの羽だ。これを体に戻せばそなたは全てを思い出し真の姿を手に入れられる」

「…やだ。…羽を近づけないで…」


恐ろしさに涙目になりながら首を振って拒否する白蘭に月影は近づく。


「しばし耐えれば痛みは蘇生術で取れる。大丈夫…本来の姿に戻るだけだ」

「いやだ…近づかないでっ…お願い」


後ずさりしていた白蘭の肩がトンと壁にあたり逃げ場を失う。


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