天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
紅蓮は急いで庭の中に入った。
白蘭なのか…?ここにいるのか?
一瞬、白蘭の姿が見えた気がした。だが、すぐに消えてしまった。
彼女を求めるように紅蓮は庭の奥に足を踏み入れあたりを見渡した。
すると彼女の姿が見えた。
「白蘭…?」
近づいても白蘭は逃げなかった。
顔を隠している布を取ると美しい顔がそこにあった。
「やはりな…」
白蘭は私を見つめると、何か言葉にしようとしては辞め、その瞳から涙を流すだけだった。
「泣かないでくれ。そなたが泣くと私まで悲しい…」
手を伸ばし涙を拭う。
「紅蓮…」
いつか見た夢のように白蘭は名前を呼んだ。
紅蓮は白蘭を確かめるように優しくふわりと抱きしめた。
その瞬間、白蘭は声をあげて泣き出した。