天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
そんな彼女を落ち着けるようにトントンと背をたたく。
「私…っ…私…」
涙につかえながら白蘭は言葉をつなげようとする。
言いたいことはわかっている。
きっと、私を刺したことを後悔し自分を責めているんだろう。
それでも魔界に来たということは私を愛しているからだ。
その思いだけで白蘭に刺された痛みなど忘れてしまう。
「そんなに泣くな…兎みたいな目になるぞ」
「紅蓮…ごめんねっ。ごめんなさいっ」
「もう過ぎたことだ」
「私、紅蓮を信じてあげられなかった。紅蓮の気持ちを偽りだと疑って、あなたを深く傷つけたっ。紅蓮はあんな酷い事するはずないのにっ…馬鹿だわ」
「ああ。馬鹿だな。白蘭は…」
そして紅蓮はクスッと笑って繋げた。
「でも私はもっと馬鹿だ。刺されても殺されても、まだそなたが愛しい。」
「…私をまだ愛してくれるの?」
「当たり前だ。私は魔界の鳳凰だ。好きな女に一度や二度殺されたとして簡単に諦めるような鳥ではない」
「…馬鹿よ…」
それから、しばらく白蘭は泣き続けた。
虹彩樹の樹に寄りかかり座る。彼女を膝にのせると紅蓮は言った。