天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「まだ泣くつもりか…本当に泣き虫になったな」
白蘭の目は兎みたいに真っ赤だ。明日自分の顔を見て驚くぞ。
白蘭は魔帝の衣の上から心臓に手を当て悲しそうに言った。
「痛かったでしょう…?」
「痛くなかった」
「痛くないわけないわ」
「じゃあ痛かった!とってもな。だが、そなたが側にいない方が辛い。豊作の祭りで灯篭に誓っただろう?死ぬまで共にいよう。もう離れないでくれ」
白蘭は泣くのを辞め笑った。
この笑顔がずっと見たかった。
「…魔帝になったのね」
「ああ。そうだ。」
「こんなところに座っていていいの?」
「魔帝だからな、もう誰も咎めない」
紅蓮は自身の重たい簪を取った。
「問題はこれだ。魔帝はこんなにも重い簪をつけねばならない。毎日これじゃあ首がそのうち曲がるぞ」
クスッと白蘭は笑った。それを見て紅蓮は簪を白蘭の髪に挿す。
「ちょっと」
「そなたが預かれ、また逃げられてはかなわないからな」
「私の首が曲がってもいいわけ?」
「首が曲がっても愛せる自信がある」
「もうっ」
照れながら抱き着いてくる白蘭。