天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
ずいぶんと甘え上手になったものだな。
紅蓮の長い黒髪を指で弄びながら白蘭はもじもじと聞いた。
「ねえ。紅蓮。これから私はどうしたらいい?紅蓮と一緒にいたいけれど私は天女だし、天界の者として戦では先陣を切ったのよ。とても魔界にいる資格はないわ」
「じゃあ、また逃げる気なのか?」
「そうじゃないけど…」
「心配するな。魔都や民が無事なのは白蘭が天界の者に訴えたからだろう?」
「知ってたの?」
「ああ。それにそなたは誰も殺めていない。私を殺したのも救ったのも白蘭だ。魔宮は見ての通り元通りだし、魔気病の薬はすでにある。何の問題もない」
紅蓮の言う通り、魔界ではすでに白蘭のおかげで助かったという話が出ていた。
「ずっとここにいろ。私のそばで」
「ええ。側にいるわ。もう離れない」
朱雀が呼びに来るまで、二人は虹彩樹の庭で抱きしめ合い幸せに浸った。