天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
魔帝と魔后の愛も、気にかけてくれる乳母も、従者の朱雀も、そして美しい容姿や法術も。
しばらくすると、皇太子の座もすんなり手に入れられ、朱雀軍も、戦神の神籍まで与えられていた。
私がどれほど努力をしても手に入れられない物を紅蓮は常に持っていた。
それは友として誇らしく同時に私を惨めにさせた。
皇子でありながら食事もまともに出来ず、乞食のように友に貰うしかない自分が嫌だった。
実の父が氷輪にだけ笑いかけるのが嫌だった。
そんな氷輪は何も知らず私を好いてくるのが嫌だった。
天宮を歩くだけで陰口をたたかれるのが嫌だった。
居場所のない天界が嫌だった。
随分前から本当は惨めな自分が大嫌いで限界だった。
だが、白蘭がそんな私に笑いかけてくれたのだ。白蘭だけが私を救ってくれた。この嫌な思いから救ってくれたのだ。