天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


「そなたのためだ」

「やだ…紅蓮、助けて」


紅蓮の名を聞いた瞬間、月影は白蘭の肩をつかみ固定した。

それを嫌がり月影の腕の中もがく白蘭。


「っ…」


暴れる白蘭を抑えながら翼を法術でつける。


一度切り離された羽を付けるのは至極の技だ。ましてや天女の羽だ。とても技術がいる。


天帝であり強力な法術の持ち主である月影でさえ苦戦し額には汗が伝った。


羽がつくと共に激しい痛みに白蘭は泣き叫んだ。


何年も玲心に杭を打たれ穴が開いた感覚が一度に白蘭を襲った。


「っ…痛い!!…やめて!!月影!!…お願い!!!」


愛しい人が泣きながら暴れ自分に何度も懇願する。

だが、月影はやめることはできない。

心を痛め己の法力を白蘭に注ぎ込む。


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