天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


白蘭はしまっていた羽を紅蓮に見せた。

その羽は羅刹によって色だけは白く保たれている。


「ほら見て。もう治ったから。ちょっと法術が使えるのに時間がかかるだけよ」

「どれくらいだ?どれくらいで元気になる」

「…一年。一年で良くなるわ」


嘘だ。一年後、私はこの世から消える。

でも、そんなことは当に覚悟できている。


「だから、そんな顔しないで。せっかく一緒にいられるんだから笑いましょう」

「そうだな」


安心させるように言うと紅蓮は笑った。

そして不意打ちに口付けをしてくる。


「もうっ」

「ふふっ…嫌か?」

「嫌じゃない…んっ」


言い終わる前にすぐに口を塞がれる。


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