天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
朱雀が驚くのも無理はないと紅蓮は思った。
何しろ、魔界中の神が集まっているのだからすごい人の数だ。
魔帝の座につき白蘭を待つ。
そしてしばらくすると宦官が声をあげた。
「花嫁様ご到着です」
皆が静まる中、雪梨に手を引かれながら入宮してくる。
「「「天に感謝を!天女に慈悲あれ!!!」」」
神達の祝福の声が宮に響き渡った。
赤い婚姻衣装。鳳凰の柄に身を纏い背には天女の純白の羽。
その顔は美しく私だけを見つめこちらにやってくる。
その麗しい姿に一瞬たりとも目が逸らせない。
雪梨の手を離れ紅蓮に引き継がれる。
紅蓮は白蘭の手を握ると力強く引き寄せた。
「綺麗だ」
「紅蓮も」
照れながら小声で言う白蘭。私だけの妻だ。
ずっと気にかかっていた。後宮に入れてしまったことを。身分のせいで豪華な宴も開けずに密かに行われたことを。
「戻ってきたな。私の妻に」
「ええ。戻ったわ。あなたの妻に」
二人で笑い皆に向き直る。