天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「これを…」
「灯篭?まるで豊作の祭みたい」
「願いを込めてあげよう」
「ええ。いいわ」
二人で一つの灯篭を空にあげた。
すると事前に紅蓮が用意した五百の灯篭が一斉に法術に反応してあがった。
「わあ…」
虹彩樹の花と赤い灯篭が何とも幻想的な景色を映し出していた。
「綺麗!」
「そなたのために私が用意した」
「紅蓮が?…嬉しい…。ねえ。何を願ったの?」
「またそれを聞くのか?」
「いいじゃない!」
「白蘭とずっと一緒にいられるよう願ったのだ」
「そう…」
「そなたは?」
「私も紅蓮と同じ願いよ」
幸せだった。この世で一番幸せな時を過ごした。
灯篭が見えなくなるまで二人は虹彩樹の庭で見つめていた。