天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「紅蓮!戦をやめて」
久しぶりに会う白蘭がそう願う。
「それは出来ない。近いうち天界と争うと思っていた。それが予想より早いだけだ。…月影を倒さない限りは永遠にこの争いは続くことだろう」
「でも…」
白蘭は天女だ。戦を止めたいのは当然だ。
それに少なくとも月影と過ごした仲だ。争ってほしくないのはわかる。
だが、そのような甘い考えが今の月影に通じるはずもない。
あいつはもう変わってしまったのだから。
「私は魔帝だ。魔界を見捨てて逃げることは出来ない。」
「…」
白蘭は黙った。
複雑そうな心配そうな顔をする彼女を抱きしめ言った。
「大丈夫だ。ここで待っていてくれ。すぐに白蘭の元に帰る。約束だ」
紅蓮はそう言い残し、天界との戦に向かっていった。