天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
あの時、私は執着だと言ったけれど月影は私をちゃんと愛している。真心は人間界でも天界でも受けた。でも、そのやり方が大きく間違っているのだ。
かつて魔帝も母上を手に入れようとし戦を起こした。
…月影も私を手に入れようと戦を起こした。私が原因でこの戦は起こっているのだ。
二千年前の戦がまた起ころうとしている。
「っ」
翼に痛みを感じる。羅刹の術をかいくぐって純白の翼は黒い翼に変わった。
天女の病だ。
八咫烏と同じ黒い翼にかつては憧れた。今はもう同じだが喜べるものではない。
ドカンと大きな音がして熱風がここまで届く。
紅蓮の術だ。紅蓮業火だ。
「白蘭様!」
「白蘭様!なりません!」
「お戻りください!」
私は気づいたら侍女の止める声も聞かず魔宮を飛び出していた。