天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


玲心の様子を伺いなかなか飲もうとしない魔后に玲心は笑った。


「毒なんて入れませんわ。魔后殿下は同族で私の義母上なのですから」

「…そうだな」


ふんっと鼻で馬鹿にしたように笑い魔后が茶を飲む。

そして今度は魔后が玲心にけしかけた。


「それよりも玲心。私のことを思うのならばいつ孫の顔を見せてくれるのか?」

「…」

「私に泣きつき正室の座を手に入れて、もう数年。いまだに正室の宮にも入れず夫にもないがしろにされるとは…」

「そ、それは…」

「これでは婚姻を進めた私の面目も丸つぶれだ。それに魔都では、そなたが身ごもれない病だという噂もあるんだとか?」

「なにをっ」

「噂を否定するのであれば早く孫の顔を見せるのだな…。そうすれば私も安心できるというもの」


扇子で隠しながらも魔后は勝ち誇った笑みを見せた。


それに対し玲心は怒りで拳を震わせた。



< 30 / 258 >

この作品をシェア

pagetop