天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「くっ!」
炎狐族の長である玲心の火炎術でも、神籍を持つ魔后の術の方が力が上だった。
魔后の火炎術が玲心の衣の袖を焼き、玲心は膝をつく。
「その美しい顔が焼ける前に諦めたらどうだ?」
魔后が自身の手にもつ扇子を閉じると玲心の顎を持ち上げ顔を眺めた。
「っ触るな」
「まあ、どちらにせよ死罪だがな」
魔后の火炎術が顔の近くまで迫ってくる。
玲心は寸前のところまで魔后を近づけると、月影に貰った力を使った。
月影の術は強力な水系術であたりの炎まで消し去るほどだった。
「なぜ、貴様が水系術を!?」
「死にゆく貴女に教える必要はありません!」