天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
真正面から月影の水系術が当たった魔后はまさに致命傷だった。
口から血を吐きその場に崩れる。
「同族殺し…まして魔后を殺すとは…」
残り少ない命で魔后はしゃべった。
「…呪ってやる…必ず、そなたを呪い…道ずれにしてやる…」
「…どうぞご勝手に」
そして目を見開いたまま魔后は果てた。
魔后の最後を見届けた玲心はペタリとその場に座り込んだ。
…殺してしまった。本当に私、殺したんだわ。
それと同時に月影から貰った力が体から抜ける。
一度しか使えないとは…あの男は非常に狡猾だ。
「玲心様、そろそろ結界が限界です」
「お早く」
「終わったわ」
玲心は最後に魔后の両の目を閉じてあげると部屋をでて、双子と共にすばやく宮から離れた。