天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


返事をすると雪梨は紅蓮の手を握った。


「気をたしかに持つのですよ」

「…ありがとう雪梨」


雪梨と別れ魔后宮の部屋の前で一息つくと中に入った。

部屋の中では魔帝が一人で立っていた。


「父上…」

「戻ったか。紅蓮」


父の声は落ち着いていた。

妻を突然亡くしたにも関わらず、その落ち着きようは魔帝の地位から来るものだろうか。


「魔后が死んだ」

「…」

「殺されたのだ」


母上の部屋は数多くの装飾品が燃え黒く焦げていた。

殺害によるものだとすぐに分かった。



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