天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
力の暴走は白蘭自身の体も傷つけた。
だが、痛みすら忘れるほどに白蘭は怒りと憎しみに囚われたのだった。
「…白蘭っ」
「陛下!これはっ」
「力の暴走だっ。気鋭すぐに侍女と共に宮に結界を張れ!」
月影が来たことすら白蘭は気づかない。
『「足を斬られたそなたの父もこのような姿で動いていたな…血のつながりは無くも親子は似るものなのだな」』
八咫烏の父上を笑いながら馬鹿にした紅蓮。
私の羽を切り取ったあとは、何度杭を打ったのだろうか。羽に刺さった杭による痛みは今でも覚えている。
人間界に来てまでも私を陥れる気だったというの?
憎い。殺したい。