天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


「白蘭…っ」


無差別な鬼神の力は月影のことも傷つけた。

そうして暴走は白蘭の内臓を傷つけたところで、やっと収まった。

内臓を傷つけたことで白蘭は苦しそうに血を吐き、寝台に倒れこんだ。


「白蘭!!」


すぐに月影が白蘭を抱き起こし外にいる従者に叫んだ。


「すぐに薬師神を!!…早くしろ!!!」


…月影だわ。

憎しみから解放され我に返った白蘭は目の前にいるのが月影だと、やっと理解した。


「…っ…」


話そうとすると内臓の痛みに顔をしかめ、吐いた血が逆流し激しく咽た。


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