天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「話さなくていいっ…落ち着くんだ。大丈夫だ、大丈夫」
月影は白蘭の苦しむ姿を見て涙を浮かべた。
「薬師神はまだかっ!!!」
もう一度、薬師神を呼び月影は震える手で白蘭の口元の血を拭う。
「ああ…白蘭…大丈夫だ。すぐに良くなる。大丈夫だ」
自分に言い聞かせるためか、私を安心させるためか月影は何度も「大丈夫」と口にした。
薬師神が到着し白蘭の状態を確認する。
「どうだ?」
「鬼神の力が暴走したのでしょう。あまり感情的にならなければ問題ありません。」
「そうか」
「生まれ持った力はすぐに操れるようになります。体の傷も蘇生術で治しました。しばらく安静にしてください」