天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
美しい龍はしばし天女がくる間、桜を愛でて待った。
「陛下…」
「どうした?」
気鋭が呆けた顔をして声をかけてきた。聞くも返事がなく視線をたどると白蘭が宮に向かってきていた。
薄い桜色の衣に銀の髪飾りをつけ、肌は白く艶やかな長い黒髪を風が撫でる。
そして純白の翼が光に照らされてキラキラとより一層輝いていた。
真の姿を得たからか白蘭は以前にも増して美しかった。
「綺麗だ…」
「そうですね…」
気鋭が呆けるのも無理はない。
侍女に案内され宮に入ってくる白蘭を月影は笑って迎え入れた。