天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「知らないとはいえ嫌がる、そなたを真の姿に戻すにはああするしかなかった…すまない」
「…いいの」
「魔界で白蘭の身に起きたことは知っている。複雑な気持ちだろう…」
「そうね…」
「だが今の私は天帝だ。何も不自由はさせない。この天界にいれば安全だ必ず、そなたを守って見せる」
白蘭の手を握り瞳を見つめ月影は言った。
「愛している。白蘭」
「…」
しかし白蘭はスルッと手を放した。
「白蘭?」
「月影の想いには何も応えられない…今はとてもそんな気持ちにはなれないの」
白蘭の瞳は揺れていた。
「そうだな…今は無理でも私の気持ちを少しでも知り理解して欲しい。何百年何千年かかっても構わない。私はこの先いくらでも待とう」