天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「…しばらく考えさせて」
白蘭には時間が必要なのだ。
「天宮内は自由にどこでも行くといい。良い気晴らしになるだろう」
「…ありがとう」
憂鬱そうに白蘭は席を立つと桜の間を去っていった。
…少し早すぎたか。
今は辛くもこの先、時間をかければまた以前の白蘭に会えるだろうか。
白蘭の笑った顔が酷く懐かしく感じる。
「桜作戦は駄目でしたか…」
花が好きな白蘭が桜に見向きもしなかった。
「時間が必要なのだ」
「そうですね…大丈夫です。陛下の想いは必ず伝わります」
そうだ。もう誰も私から白蘭を奪うことは出来ない。
この天界で私に敵う者はいないのだから。
きっと想いあうことができるはずだ。