天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「天宮の散策か?」
「そう…ずっと閉じこもっていても仕方がないもの」
月影と並んで歩く。
「天界は美しいわ。天候は穏やかで温かい。気分が晴れる」
「そうだ。白蘭。花が好きだろう?どのような花が好みか聞いておきたい。その花の庭を私が作ろう。どんな花が好きなのだ?」
…虹彩樹。
真っ先にあの虹色の花が思い浮かんだ。
白蘭は首を横に振った。
「わざわざ私のために庭を造らなくても大丈夫よ。天宮はこんなに美しいんだもの」
「…そうか」
ふと、月影の衣の裾が微かに燃えているのが見えた。
几帳面で綺麗好きの彼らしくない。