天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
「月影…衣の裾が燃えているわ」
言うと彼はサッと隠して笑った。
「実は昨晩出かけてな。今帰ってきたところなのだ」
「そうなの」
「着替える前に白蘭を見かけ、つい話かけてしまった」
「朝議が始まる前に着替えたほうがいいわ。気鋭が知ったら驚くもの」
「そうだな」
少しのことでも変な噂をたてられかねない。
月影にかぎってそんなことはあり得ないし、気鋭は優秀だから心配はないんだけれど…気づいたから教えてあげるべきよね?
何か言いたげの月影に白蘭は聞いた。
「何…?」
もしかして余計なお世話だったかしら
「いや…何でもない。また時間が出来たら会いに行く。茶でも飲もう」
「ええ」
腹を立てたわけではないようだ。月影は笑って天帝宮へと向かった。