天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~



白蘭は月影を見送った。


月影は良き天帝だ。民のために尽力している。その評価は高い。


魔界や人間界にいたころ月影にはっきり想いを伝えられたことはなかった。


そんな彼が私を愛していると言ったのだ。


いつから想いを寄せていたのだろうか。


今の私には愛という言葉は辛すぎる。


かつて想っていた人には二度も偽りの愛を囁かれた。簡単には受け入れられない。


数千年もすれば魔界や人間界のことなど忘れるだろう。


月影も待つと言ってくれた。でも彼は天帝だ。天帝ならば天后を早く迎え入れなければならない。


そんな天帝を何百年、何千年と待たせてもいいのだろうか。


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