天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~
月影は天后宮を出て白蘭の捜索を行った。
天宮には見当たらず月影は内心焦った。
…天界を出たというのか?
天宮から離れたところを探していると、白蘭の法術の気配がし胸をなでおろした。
ここは…以前私がいた皇子宮だ。
静かに入ると机で兎と眠る白蘭がいた。その寝顔は穏やかだった。
侍女の報告によると悪夢を見るのか毎晩眠りが浅いと言っていた。
白蘭はもともと自由を好む女子だった。天后宮では侍女に囲まれ一人になるときはない。籠の鳥だ。
そんなことも私は忘れていたのだ。
…ここなら安心して眠れるのだな。
月影は白蘭が起きないよう抱き上げると寝台に連れて行き布団をかけた。
そして何も咎めず静かに宮をでた。