天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


「虹彩樹は五百もあるんだぞ!バレないバレない!それに兎月も虹彩樹を見てみたい!!」

「兎月、見たいの?」


聞くと、ピョンピョン跳ねて「見たい」と繰り返した。

そうね。五百もあるなら一本くらいバレないかもしれない。

それに何より私も虹彩樹が恋しい。

あの花をもう一度見たいのだ。


「わかった。では要望に応えて行ってこようかしら」

「やった!その意気だ白蘭!」


兎月の言葉に背を押され、白蘭は久しぶりに外に出た。

翼を広げ飛ぶと風が気持ちよかった。

やはり真の姿で飛ぶのが好きだ。

空を飛んでいる時は必ず自由になれる。

八咫烏の時と同じ感覚で飛んだのにあっという間につく。


…天女の羽って随分早く飛べるのね。


姿を法術で隠して魔宮に侵入し虹彩樹の庭を目指す。


「床はきちんと磨いて…食器は全て銀製の物を使うのです」


途中、雪梨を見かけ慌てて隠れる。


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