同期ドクターの不埒な純愛ラプソディ。
〜Prologue〜
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私たちは、どこにでも転がっている、ありふれた一夜の過ちからはじまった。
それまでは、医大の同期であり同僚でもあったけれど、専攻が内科医と外科医ということもあり、互いに敵視しあっていた、いわゆる犬猿の仲。
ずっと嫌われていたと思い込んでいた私にとっての認識は、まさにそれだった。
そんな犬猿の仲だったはずの私・神宮寺鈴《じんぐうじりん》と、彼・窪塚圭《くぼづかけい》のバトル満載のラブロマンスは、互いに重ねてしまった嘘の所為で拗れに拗れ……。
長くなるので経緯は省くが、色んなことがあったけれど、今はこうして晴れて恋人同士にもなることができた。
あれから二年と少し、あの頃はまだ初期研修を終えたばかりの専攻医だったけれど、つい先日、二人そろって専門医になることもできた。
気づけばもうあと数日もすればニ十九歳になってしまう。
私たち医者にとっては、これからの身の振り方を考える分岐点ともいえる大事な時期を迎えている。
このまま研修先である病院に残るか、はたまた開業医になるか……。
勿論私は、このままの環境でずっとずっと変わらずにいられると思っていた。
それからそろそろ結婚に向けての具体的な話があるのだろうとも。
それが、二年が経過した今でも、相変わらず多忙を極めている私たちには、そんな話をゆっくりするような時間などない。
特に、脳神経外科医である彼・窪塚圭が、連日のように職場である光石総合病院に泊まり込んでいるからだ。
窪塚と付き合うようになって、絶縁中だった家族と仲直りし実家暮らしとなった。
私が窪塚に会えるのは、週末である土日だけ。
結婚を前提に交際をしているお陰と母の心強い援護射撃のお陰で、週末にはお泊まりだって許してもらえてはいる。
だが大抵は窪塚が職場から呼び出されてしまうため、二人の時間をゆっくり楽しめない、というのが実情だった。
でも、こんなにも、お互いに想い合っているのだから、私たちなら大丈夫。
そう思っていたのに……。まさか、こんな風に危機を迎える日が来るなんて、この時の私は夢にも思わなかった。
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