同期ドクターの不埒な純愛ラプソディ。
だって、初めて同士のはずなのに、窪塚ときたら、付き合いはじめた当初から一貫して、全然恥じらいもしないし、いっつもいっつも窪塚は余裕をかましてくるのだ。
対して私は、未だ全然余裕なんかなくて、窪塚に掌の上でいいように転がされてばかり。
それはおそらく、二年前、想いが通じ合って、付き合うようになったあの瞬間から。
いいや、きっと、一夜の過ちがきっかけで不埒な関係になったあの瞬間から、私は完全に窪塚によって掌握されていたに違いない。
つまりはあの時点で、ロマンスバトルにおいて、窪塚に軍配が上がっていたということになる。
すなわち、窪塚が私のことを想っているよりも、ずっとずっと窪塚のことを想っていると言うことを意味しているように思えてならないのだ。
ここ一ヶ月というもの、窪塚と禄に会えないでいたせいか、私は時折そんなことを考えるようにもなっていた。
いくら両想いで付き合っていようと、誰かを好きになると言うことが楽しいことばかりではないんだ、と言うことを身をもって痛感していたのだ。
そして好きな人にずっと好きでいてもらうためには、時には素直にならないといけないんじゃないかとも思っていたし。
会えない寂しさからか、もっともっと素直になって、窪塚に甘えたい。とも思うようになっていた。
そうは言っても、前述のように、仕事で疲れているだろう窪塚に負担をかけたくはないという想いが大半を占めているので、どうにも踏み切れずにいたのだ。
ーーでも、我慢ばっかりしてちゃダメだって、彩も言ってたし。たまには素直に甘えてみてもいいよね。一ヶ月ぶりなんだし。
帰りがけに彩からもらった忠告通り、実行しようかと思っていた矢先、これまたいつものように、窪塚の嬉しそうな声音が思考に割り込んできた。
「わかってるって。そういう鈴も可愛くてたまんね~。先に、こっちが食いたいな〜」
そちらへ意識を向けると、窪塚は声音同様、嬉しそうに私の顔を覗き込んできて、甘えた口調でお伺いを立ててくる。
「////……い、いいよ。私も圭のこと傍で感じたいし」
私は、チャンスは今だと覚悟を決めて照れくささと羞恥を堪え素直な言葉を放っていた。