同期ドクターの不埒な純愛ラプソディ。
久方ぶりの甘い夜 #3
とことん攻め立ててくる窪塚によってもたらされる強烈な快感に、辛うじて保っていた意識が今にも途絶えそうだ。
いよいよ限界なんだと思い知る。
「……もっ、ダメぇ」
余裕なく言葉を紡ぎつつ。
ーーやっと楽になれる。
ゴールが近いのだと、安堵しかけた時のことだ。
容赦なく攻め立てていた窪塚の愛撫がどうしたことか突然ピタリと停止してしまったのは。
おそらく焦らそうとしているに違いない。
焦らしに焦らして、先ほどの宣言通り、私が素直に窪塚自身を欲しがるように、とことんまで苛め抜こうとしているのだろう。
何故なら、いつもなら私の限界を的確に見極めて、そろそろ意地悪な言葉でお伺いを立ててきてもよさそうな頃合いなのに、そんな素振りが微塵もないからだ。
それどころか窪塚は、蕩けてしまっているのかと思うくらいに、大洪水を起こしてしまっている泥濘から、クチャリと厭らしい水音を立てつつ自身の指をあっさりと引き抜いてしまう。
ーーえ? なんで?
首にしがみついたまま呆けている私の目の前で、窪塚はこれ見よがしに、自身の指に絡みついて厭らしく艶めく雫を丁寧に舌で舐りとると、意地の悪い声音で囁きかけてくる。
「鈴、どうしたんだよ? そんな物欲しそうな顔して。もしかして、俺にもっと苛めて欲しかったのか?」
容赦ない言葉を突きつけてきた窪塚の端正な顔がえらく妖艶で、薄くて形のいい唇には、怖いくらいに綺麗な冷たい微笑がうっすらと浮かべられている。
思わず息を呑み、喉を鳴らしてしまった私は視線を絡めとられたように一瞬たりとも目が離せない。
そんな私の視界の片隅で何かが煌めいた。