同期ドクターの不埒な純愛ラプソディ。

 ……かと思いきや、ドSな窪塚のプライドに火をつけ、ヤル気を最大限に煽ってしまうことになっただけだった。

 私がそのことを思い知ったのは、これまで同様、余裕を根こそぎ奪い去られてしまった後のことだ。

「クソッ、理性抑えるのに必死だってのに、この無自覚天然記念物が。もうどうなっても知らねーからなッ!」

 直後、さっきまで私のことを余裕なく潤んだ眼で見やっていた窪塚が捨て台詞を吐くなり、私の身体はヒョイと抱き上げられてしまうのだった。

 ソファで座した窪塚にあたかも飼い猫が小脇から差し込まれた手により抱え上げられているような格好にさせられ。

「ーーギャッ!?」

 条件反射で、いつもの如く色気の欠片のない短い悲鳴をあげた私は、驚愕して縮こまっている。

 あたかも、高い木に登ったはいいが、怖くて自力で降りられなくなってしまった猫状態だ。

「あー、やっぱ、積極的な鈴より、驚いたときのこの反応のほうがメチャクチャ可愛い〜。鈴の何もかも全部がやっと俺だけのものになるんだって思ったら、ヤバい」

 対して満足そうに私のことを見上げつつ、そんなことを言ってきた窪塚は、えらくご満悦だ。

「な、なによ、ヤバいヤバいって。そんなこと言う割にはいつも余裕のクセして」

 なんの手出しもできない私は、そんな悪態を零すことしかできない。

「ーーはっ!? 余裕なんてねーよ。けど、そー見えてるってことは、鈴にも余裕がないってことだよな?」
「そ、そうよ。悪い?」

 窪塚から意外な言葉が返され、余裕がないのは同じなんだと安堵する暇なく、嬉しげに念押しされたのが癪で、開き直ってみたが、嫌な予感しかしなくて尻込み状態だ。

「いーや、メチャクチャ嬉しいに決まってんじゃん。世界で一番可愛くて愛おしい彼女にも自分と同じように想ってもらえてるってことなんだしさぁ。それに他の誰でもない俺の手で余裕をなくしてるってことだし。まぁ、確かに。いつもメチャクチャ乱れまくってるもんなぁ」
「////ーーッ!?」

 普段の調子を取り戻し、えらくご機嫌な様子で、さっきの仕返しとばかりに、臆面なく歯が浮くような言葉と羞恥を煽る言葉とをお見舞いしてくる窪塚に、赤面させられ、ますます身を縮こめることしかできない。

「俺だって、この通りもう余裕もねーし。今からお互いの気持ちを確かめあおうぜ。たーっぷりとな」

 余裕も逃げ場もない私に対して、意味深なことを口にしてきた窪塚の言葉の意図を理解したときには、身体は左肩に担ぐように抱き上げられていて。

「あっ……ちょっと、何よ急に」

 その間に、窪塚の右手がお尻の辺りでモゾモゾし始め、素早い手つきでスエットを下ろしているのだと私が理解したときには、身体は胸に抱き寄せられていた。

 そうしてそのままゆっくりと、目視できないが、露わになった猛々しく屹立している窪塚自身をピトッと下腹部に宛がわれ、

「……え、うっそーーあぁんッ!?」

濡れた音を響かせた次の瞬時には、天を突き上げるようにして穿たれてしまっていて。

「はぁ……スッゲー、食いつき……ッ」

 なんとか失わずに済んだ意識の片隅で、窪塚の喜悦に満ちた声が聞こえてきたところで、何かを返すような余裕などあるはずもなかった。

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