同期ドクターの不埒な純愛ラプソディ。
だからこそ心を鬼にして、甘えたいのをぐっと堪えて、ムッとした表情で唇だって尖らせて、精一杯の抵抗を試みる。
「だって、圭ってば、絶対それだけで終わんないんだもんッ!」
「んなことねーよ。俺だって盛りがついた犬じゃねんだしさー」
「……どーだか」
ここで、可愛くあしらったりできない私は、いつものように可愛くない態度しかとれないことが残念だし、嘆かわしいが、こればっかりはしょうがない。
「あっ、ヒッデー。鈴は俺のことそんな風に思ってたのかよ? そうかよそうかよ」
けれども言い合っているうちに、いつもはやんわりと折れてくれるはずの窪塚が臍を曲げてしまい、終いにはムスッとして私から離れると背中を向けて完全にふて寝状態。
そこまで怒らせてしまうとは思ってもみなくて、途端に焦り始めてしまった私は、なんとかして誤解を解こうと、窪塚の背中を揺すりつつ必死に食い下がった。
「そうじゃなくて。久々だからこそ、ずっと寝て過ごすなんて勿体ないことしたくないから言っただけなんだってば。だって結局、昨夜も料理の仕上げも何もかも全部圭にしてもらったし。今日は圭のために色々頑張りたいの。だから、機嫌直してってばぁ。ねえ、圭」
必死になってたお陰で、目論見も何もかもをバラしてしまっていることにも、まるで気づいていないという、大間抜けぶりだ。
「なんだよ。そういうことかよ。俺はまた、苛めないとか言って結局優しくできなくて無理ばっかさせたから、それを怒ってんのかと思ったけど。そっか、そっか。そうだったのかぁ。俺、メチャクチャ愛されてんじゃん。やっべぇー」
「////ーーはぁ!? カマかけてたの? もー、圭ってば信じらんない。フンッ!」
その上、窪塚の言動のアレコレが私の心情を探るためのものだったとわかったものだから、恥ずかしいやら悔しいやらで、今度は私がすねる番だ。