同期ドクターの不埒な純愛ラプソディ。
既に面識もあるので挨拶を早々に済ませて、本題に入ろうとしていた矢先。
「本題に入る前に一ついいかな?」
以前に比べると若干緩んだ気もするが、にこやかに笑みを浮かべている母とは違い、仏頂面でムスッと口を真一文字に引き結んでいる父から普段より少し低めの声音で質問がなされた。
「ど、どうぞ」
何を言われるのだろうかと、身構えつつも私が先を促すと、父の方から意外な言葉が飛び出して、私も窪塚も呆気にとられる羽目になる。
父は、「うん」とゆっくりと頷いてから声を放った。
「従兄の譲さんから話は聞いてる。勿論、今回の件だけでなく、ふたりがどんなに仕事に矜持を持って取り組んできたかも」
そう前置きしてから、これまでのことを語り始める。
まず、窪塚と付き合い始めてから、実家に戻った私が、とても生き生きとしていて、家族ともよく話すようになったこと。
以前よりも仕事に一生懸命で、何より内科医として誇りを持って仕事に取り組み、職場でも明るくなったことなどなど……。
父が事細かに知っていたことに関しては、譲おじさんの口の軽さを呪いたくなったが、いい方に転がってくれているようなので、目をつぶっておくことにする。
それらを話したあと、父はまたまた意外な言葉を言い放った。