同期ドクターの不埒な純愛ラプソディ。

 声音同様に熱のこもった真剣な眼差しで見下ろされ、僅かに落ち着きかけていた鼓動が急激に高鳴っていく。

 これまでの圭との思い出が次々に浮かんでくる。

 大学生の頃からセフレだった頃、付き合い始めてから今までのこと。

 楽しいことばかりじゃない。でもどれもこれもかけがえのない大切な思い出だ。

 きっとこれからも圭との思い出が少しずつ増えていくのだろう。

 改めて、結婚したんだということを実感し、嬉しさの余り胸がジーンと熱くなる。

「うん」

 そう答えるのがやっとだ。

 それ以上何かを言ったら、感極まって泣き出してしまいそうだった。

 そんな私の頬にそうっと右手を差しのべた圭が、許しを請うように声を絞り出す。

「鈴の泣くの我慢する顔、すっげーそそる。もう限界だわ。けど、出来るだけ優しくする」
「うん。私も限界ーーんんっ」

 即座に答えようとした私の言葉は、途中で余裕なく身体に覆い被さってきた圭の唇に奪われていた。

 隙なく密着したことで、窪塚の下肢の中心が張り詰めている様がありありと伝わってくる。

 自分のことをこんなにも求めてくれているのだ。

 そう思うと、どうにも愛おしくて、触れたくなってくる。

 無意識に手を差しのべていた。

 けれどその前に気づいたらしい圭の手により手首を掴まれ阻まれてしまう。

「こら、またそうやって俺のことを煽ろうとする。そんな余裕なんて与えてやんねー」

 キスを止めそう宣言してきた圭によっていきなり膝を折り曲げられた。

 そして見る間に足をM字に開かれ顔を埋められてしまっている。

 眼前に広がる、目を覆いたくなるような卑猥な光景に、滾るように熱くなった身体が戦慄く。

 別にはじめてのことじゃない。ましてや怖いわけでもない。

 これからの情事への期待感からだ。

 今夜が夫婦としてのはじまりの夜だと思うからだろうか。

 それとも、圭が今まで見てきたなかで一番じゃないかってほどに、妖艶な色香を漂わせているからだろうか。

 きっと、何もかもすべての要因が作用しているに違いない。

 私は夫となった圭にすべてを委ねるためにそうっと瞳を閉じた。

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