同期ドクターの不埒な純愛ラプソディ。
そんなのお世辞だってわかっているけど、褒められるのはやっぱり嬉しい。
なにより、独占欲を思わせる情熱的な言葉をかけてもらうと、私のことだけをちゃんと好きでいてくれるんだと、改めて、実感することができる。
もうそれだけで、会えないでいた寂しさなんてどこかへ吹き飛んでしまう。
「////……べっ、別に、圭のためじゃないから。これは自分のためだし。それより早く帰りたい」
けれども、どうにも照れくさくて、相変わらず素直になれない私は、可愛げのないことばかり言ってしまう。
それを優しい窪塚は、いつものように軽く笑ってから、優しく受け止めてくれる。
「ハハッ、そうだな。けど、もうちょっとだけ抱きしめさして」
そうしてお決まりのように、毎回そう言って、喜びを噛みしめるようにして、私のことをあたたかな腕で包み込んでくれるのだった。
なのに、私ときたら、やっぱり可愛げのないことしか返せない。
「もう、しょうがないんだから」
そんな私の心の内など全部お見通しだとばかりに、窪塚はふっと優しい笑みを零すと、尚もぎゅぎゅうと優しくけれどしっかりと逞しい腕に包み込んでくれている。
それからほどなくして、窪塚の車に乗り込み、窪塚のマンションへと帰り着いて、現在私は、夕飯の準備に勤しんでいるところだ。
勝手知ったる窪塚の自宅のシステムキッチン。
エプロン姿で調理台に向かい、焼き上がったばかりの窪塚の大好物である出汁巻き玉子をまな板にのせたところで。
「おっ、すっげーうまそう~!」
「あっ、ちょっともうー! まだ準備してるところなんだから待ちなさいよ」
シャワーを浴びたばかりの窪塚が私のことを背後から抱きしめ肩に顔を乗っけてきて、嬉しそうに手元を覗き込んできた。
窪塚の身体からほわりと仄かに香ってくるボディーソープのほんのり甘やかな香りが鼻腔を擽る。
ただそれだけだというのに、これから過ごす窪塚との甘やかな夜への期待感から、トクトクと胸が高鳴ってしまうのだった。