私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
なのに、私は昨日のキスから昔の幸せな日々の事を何度も思い出していて……。完全におかしい。
あんな幸せな日々は、全部嘘だったと分かってるのに。
私は唇をかむと続けた。
「私と修、もともとは幼馴染なんですけど、昔、少しだけ付き合ってたことがあって……。付き合ってるって思ってたのも私だけかもしれないですけど……。でも、ボストンに行く前には間違いなく、きっぱり別れてるんです」
私が言うと、突然、栗山先生は私の両手をとる。
「夏目さん!」
「へ?」
「あ、ごめ……!」
慌てて栗山先生は私の手を離した。
「……いえ?」
(どうしたんだろう、栗山先生……)
私が栗山先生を見ると、栗山先生は少し赤くなっていて、困ったように頭を掻いた。
「……ただ僕は、夏目さんが都合のいい女になってないか心配なんだ」
「やっぱり、そうですかね……」
「『やっぱり』って、つまり夏目さんもそう思ってるってこと? なら余計に流されるなんてよくないと思うよ」
栗山先生は、いつもとは違った様子できっぱりと言う。
(栗山先生の言うことはもっともだ)