私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~
「……え?」

 鈴鹿先生は続ける。

「今はアルバイトでしょ。どうにかして正規雇用にできないか考えてたの。くるみちゃん、理学の学士もあるし、条件的にはうちでも正規雇用もできること知って、事務にもこっそり相談してた。教育教員にはなれないけど、将来的には、助手にはなれると思う。くるみちゃん、真面目だし、正直これで任期が切れていなくなったら困るなぁって思ってたの」

 そう言われて、私は本格的に戸惑った。
 今はアルバイトとして雇用されていて、その任期は3年。

 確かに今年度末で任期は切れる。再雇用もあると聞いていたが、不安定な立場であるのは間違いない。

 ただ、私は自分が何者にもなれないと諦観していた部分もあるので、そういう道を調べもしなかったし、考えたこともなかった。

 鈴鹿先生のその言葉を聞いて、私の心には、じわじわと嬉しさがこみあげてきた。

 採用してもらえるかもしれない、という事実より、今までやってきたことが認められた気がしたのだ。
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